角を曲がったところで、煥先輩と海牙さんは立ち止まっていた。
海牙さんが階段を指差した。
「彼女は階段を上がって行きましたよ。どこかに誘導したいんでしょうかね」
わたしは肩で息をしている。
ほかの三人は平気そうなのに。
ああもう、情けない。
長江先輩が肩をすくめた。
「追い掛けっこの時間制限があるわけじゃなし、ゆっくり行こうよ。こんなとこで体力を削りたくないな~っと」
わたしの呼吸が少し落ち着いてから、四人そろって階段を上り始めた。
壁に反響する足音は、人数ぶんより少ない。
独特な体の使い方をする海牙さんは足音がない。
煥先輩もあまり足音をたてない。
踊り場から見上げると、三階の廊下のほうへ、小夜子が進んでいく。



