校舎は暗い。
ポツポツとともされた非常灯。
校庭や中庭の外灯の光が窓から差し込んでいる。
廊下の先のほうに、小夜子の後ろ姿がある。
ふわりと広がった長い髪。淡い青色に透けるワンピース。
白いバレエシューズの足は宙に浮いている。
小夜子が廊下の突き当たりの角を曲がった。
小夜子の行方を見失わないように、煥先輩と海牙さんが速度を上げる。
「は、速すぎっ」
あっという間に引き離されて、わたしはあせった。
でも、わたしの足が遅いのはどうしようもない。
長江先輩がチカラの声を飛ばした。
【あっきー、海ちゃん、ストップ! はぐれちゃヤバいでしょ!】



