煥先輩が低くささやいた。



「オレなら連絡を取れる」


「小夜子のメールに返信するんですか?」


「ああ」



煥先輩はスマホを出して、全員に画面が見える角度でメールを作成した。


件名を空っぽにして、本文には簡潔なメッセージ。



〈会って話をしたい。今どこにいる?〉



煥先輩の親指が、送信のアイコンに触れた。


チリッと胸が痛む。


こんなときでさえ、わたしは小夜子に嫉妬している。


煥先輩からメールをもらえる小夜子がうらやましい。



返信は、すぐに来た。



〈メールありがとうございます。

 わたしは学校にいます。

 ○.:*゚Blue Moon*゚:.○〉



行っておいで、と平井さんが言った。