海牙さんが軽く首をかしげた。
「彼氏が焼くんでしたっけ? 育ての親じゃありませんでした?」
「両説あるよ。ま、どっちにしても使わないんだな。不老不死は月の姫君の特権ってわけ」
平井さんは、ジャケットの胸ポケットに差したツツジのつぼみを抜き取って、手のひらに載せた。
つぼみは白くほのかに光りながら、ふわりと宙に浮き上がった。
いとおしげに花を見つめる平井さんは、再び語り出す。
「月聖珠《げつせいしゅ》の預かり手は不老不死だ。老いず、死なない。肉体を持っていないから可能なんだよ。彼女は本来、精神だけの状態で存在する」



