「そう。嫦娥とは、月の女神だ。古い中国の伝説に登場する、不老不死のチカラを持つ天女だが、
あるとき嫦娥は地上に降りた。地上の男と暮らすうち、老いを体感する。それを厭《いと》うた嫦娥は、不老不死の霊薬を手に、月へ帰ってしまう」
月の女神、嫦娥の伝説。
小さいころに、おばあちゃんから聞いた気がする。
「かぐや姫みたい」
わたしの言葉に、長江先輩がうなずいた。
「それな。『秘録』にも類似性が指摘されてたね~。嫦娥のほうが古いよ。かぐや姫は千二百年くらい前だっけ?
不老不死の霊薬を地上に置いて、月に帰るんだ。ま、かぐやの彼氏は霊薬を焼いちゃうけど」



