外灯の下のベンチに平井さんがいた。


「また巻き戻ってきたね。禁忌の真実、違反者の正体を目撃した。ようやく核心に触れることができた」



自分の心臓が貫かれる瞬間を感じた。


自分の中で命が破壊される音を聞いた。


痛みよりも何よりも、未来が閉ざされることに恐怖して絶望した。



「わたしが違反者だと思っていました。だって、わたし、予知夢みたいな未来の中で願いの声を聞いたことがあるんです。

でも、わたしじゃなかったんですね。わたしは小夜子と共鳴していただけ」



わたしは月に願った。


月の預かり手である小夜子も願った。


伊呂波《いろは》家の血を引く彼との恋が成就するように、と。



バイブ音が聞こえた。


わたしのケータイのリズムではない。