長江先輩の号令《コマンド》が発動した。 服従を強いるマインドコントロールだ。 けれど。 「お断りするわ、朱雀。あなた程度のチカラでは分不相応よ。月の明るい夜に、わたしを服従させようだなんて」 長江先輩が目を見張る。 海牙さんが笑みを消す。 煥先輩が小夜子から跳び離れた。 平井さんが小夜子に問いかけた。 「実体を持つのは約千二百年ぶりかな、月の姫君?」 小夜子は長い髪を払った。 風が止んでいる。 でも、小夜子の髪はふわりと宙にそよぐ。