海牙さんが首をかしげた。
「こんな時間帯に、なぜ埠頭に? 港の一帯の倉庫群は、よくない噂がありますよ。きみは、なぜそんな場所にいたんです?」
小夜子は黙って微笑んだ。
ミステリアスな笑顔がわたしたちを見渡す。
ドクン、とポーチの中で青獣珠が脈打った。
まるで危険を察知したかのように。
わたしに注意を促すかのように。
煥先輩が、長江先輩が、海牙さんが、自分のふところのあたりに目を落とす。
ツルギの柄を収めた場所だ。
みんな同じ何かを察知したんだ。危機感に似た何かを。
長江先輩が両目を強く輝かせた。
【おれら、内緒話があるんだよね。進学科一年の美少女ちゃん。きみは帰ってもらえるかな?】



