そのとき、ケータイが鳴った。
長江先輩と海牙さんのスマホも、同時に。
「煥くんからの返信ですね」
いちばん素早かった海牙さんが報告する。
わたしは慌ててポーチからケータイを出した。
〈今メールに気付いた。十分くらいで着ける〉
わたしたちは先に嫦娥公園に入ることにした。
公園の出入口に自転車を停める。
「やあ、こんばんは」
当然のように、ベンチには平井さんがいた。
挨拶をして、それきり沈黙が落ちかけて、気を遣うように長江先輩が話題を振った。
「鈴蘭ちゃんがメールに書いてたファイルって、海ちゃんの『秘録』勉強ファイルのこと?」



