わたしは自転車で、車の通りがなくなった静かな住宅地を駆け抜ける。 普段は自転車に乗らない。 坂道の下りはいいけれど、上りがつらいから。 この道を再び上ることはないかもしれない。 頭に浮かびかけた恐怖を追い払って、前だけを向いて自転車をこぐ。 玉宮駅前で長江先輩と落ち合った。 ちょうど電車で着いたところだった。 嫦娥公園のほうへ歩き出したとき、トラックの荷台から海牙さんが飛び降りてきた。 「海ちゃん、無賃乗車」 「公共交通機関じゃないからセーフでしょう?」