「こ、この上着は?」
「オレの」
「えっ、あ、あの……」
「オレの服なんかじゃイヤだろうが、とりあえず着てろ。バイク、寒いんだよ。制服のままってのもヤバいし」
イヤなはずない。胸がドキドキする。
上着にそでを通して前を閉める。
ふわっと、あの匂いに包まれる。
甘い匂いではないのに、甘い。
思いっ切りブカブカだった。
そでは指先まで隠れるし、すそはスカートみたいな長さになる。
煥先輩、大きいんだな。
チラッと煥先輩を見上げると、フルフェイスヘルメットがそっぽを向いた。
手早く発進の準備をして、長い脚でバイクにまたがる。
「後ろに乗れ」
「は、はい」
返事はしたけれど、わたしは背が低い。
バイクの車高に苦労して、よじ登る。



