「煥先輩、今日の午後はどこにいたんですか? わたし、お話ししたかったのに」


「相談役は兄貴のほうがよかっただろ?」



わたしは首を左右に振った。


文徳先輩と話をして落ち着いたのは事実。


でも、わたしが話したかった相手は違う。



「煥先輩、わたしは……わたし、あの……」



うまく言葉が出てこない。


煥先輩は肩越しに親指で嫦娥公園を指し示した。



「公園のベンチに行け。平井がいる。あいつと一緒にいれば問題ない。二十分くらい待ってろ」


「待つって?」


「バイクを取ってくる」



煥先輩は言うだけ言って、人混みを縫って歩いていった。