「海牙さんの強迫観念って?」
「想像しづらいかもしれませんが、ぼくの視界には、数値化された情報がつねに現れ続けます。それが力学《フィジックス》という能力です。
ぼくは、現れ続ける情報を処理し続けないといけない気がして、落ち着かないんです。物心ついたときから、こんなふうなんですよ」
海牙さんは制服のポケットから知恵の輪を出した。
絡み合う四つのリングを、あっさりとバラバラにほどく。
そして再び、絡み合う形へ。
海牙さんの指先の動きは止まらない。
「ぼくは先代の預かり手を知らないんです。曾祖父だったんですけど、ぼくが生まれた日に亡くなりました。
しかも、ぼくの父は分家の出で、曾祖父と会ったことがなかったそうです」



