わたしは深呼吸して、煥先輩の寝顔のイメージを頭から追い払った。
「煥先輩は、まだ来ないんでしょうか?」
「まだっていうか、あっきーは来ないよ。一人になりたいんだってさ」
「そう、ですか」
「ま、あっきーにも改めて話すよ。今はとりあえず、鈴蘭ちゃんに聞いてほしい。おれらの事情、話すからさ」
海牙さんが長江先輩の言葉を引き継いだ。
「ぼくがあせっているという煥くんの指摘は全面的に正しかったと、今にして思います。ぼくにはもともと、強迫観念があるんですよ」
強迫観念というのは、精神症状の一つだ。
「本人の意志とは関係なく、不快・不安な思考をもたらす観念」のことを強迫観念と呼ぶ。



