傷が癒えていく。
煥先輩に抱きしめられている。
煥先輩とキスしている。
煥先輩がわたしを救ってくれる。
あの苦痛を、迷いもなく引き受けてくれる。
いつの間にか、わたしは目を閉じていた。
体の感覚が戻ってくる。
煥先輩の体温が優しい。
煥先輩の唇は、とろけそうに柔らかい。
わたし、煥先輩とキスをしている。
すべての傷がふさがったとき、わたしの中から青い光が消えて、煥先輩が体の力を抜いた。
唇がそっと離れた。
「うまくいったのか?」
ひそめられた眉。
切れ長な目尻に涙がにじんでいる。
大きすぎる痛みをこらえたせいだ。
声ひとつあげずに、煥先輩は耐えてくれた。



