咳き込んだ瞬間、口と胸から血があふれた。 息を、必死で吸う。 煥先輩がハッと両目を見張った。 「逆だ。吸い出すんじゃなくて、痛みを吐き出せ。オレが……」 煥先輩がわたしの痛みを吸い出すから。 唇が重なった。 わたしの震える息が、煥先輩の口へと流れ込んだ。 そして流れが生まれた。 脈打つ痛みを、青い光が絡め取る。 光は息と同じ道を通って吐き出される。 唇を伝って、息と同じようにのどを通して、煥先輩がわたしの痛みを吸い込む。 煥先輩が体をこわばらせた。 わたしを抱く腕に力が込められる。