血の赤じゃなくて、光の青を思い出す。
痛みを、いつもはわたしが引き受けるけれど、今は煥先輩が引き受けてくれるから。
痛みを。
だけど、どうすればいいの?
息が続かない。
痛みを吸い出すイメージなんです。
呼吸に連動させるんです。
それを、ねえ、今はどうすればいいの?
吸い出すんじゃなくて、行方不明になる呼吸の道筋で、痛みをどこにもやれなくて、どうしようもなくて。
わたしはあえぐ。
指先の震えが止まらない。
意識に靄《もや》がかかり始める。
「鈴蘭!」
わたしを抱きしめる腕を感じる。
でも、同期できない。
痛みを引き受けるときの、痛みを吸い出すときの、あの感覚が遠い。



