仰向けに倒れながら、血が噴き出すのが見えた。
ツルギを手にした長江先輩が血を浴びる。
刺されたんだ。
わたしののどは叫ぼうとした。
恐怖と激痛。
息を吸い込む。
ゴポリと肺が異音をたてる。
胸の傷から、血まみれの空気が逃げる。
「鈴蘭ッ!」
煥先輩に抱き起された。
慌てた顔をしている。
ちゃんと見える。ちゃんと聞こえる。
焼け付く痛みは意識を奪うほどではなくて、痛いのに、苦しいのに、目も耳もハッキリしている。
「心臓は無事です。肺が裂けてますね。酸欠で脳が停止するまで、このままです。最も苦しい死に方の一つですよ。だから、ぼくがやると言ったのに」
海牙さんの冷淡な声に絶望する。



