平井さんが少し笑った。
「順応しようと必死だね、阿里海牙くん。三次元空間における物理学とは違うチカラが作用している。それをどうにか受け入れようとして、頭も心もフル回転だ」
海牙さんは、かたくなな笑みを貼り付けた顔を背けた。
その隣で、長江先輩がポケットに手を突っ込んだ。
「つまるところ、今はいろいろ無茶な状況ってわけね。さっさとクリアしなきゃヤバいってことでさ~、次のコマに進めよっか?」
それはわたしにかけられた言葉だった。
わたしは長江先輩に顔を向けた。
朱いものが、ひらめいた。
朱獣珠の刃だと気付いた瞬間、わたしの胸に熱が突き立てられた。



