平井さんの視線の先にあるのはツツジの花なのに、わたしは、平井さんの目に射抜かれているという錯覚に陥《おちい》った。
体が動かない。
煥先輩が半歩、進み出た。
「あんたはどこまで知ってんだ? 全部か?」
「そう、全部だよ。せっかくだから、一つだけ疑問に答えよう。きみたちが抱える疑問はそれぞれ重要だが、
伊呂波煥くん、きみが最も強くいだく疑問こそが最もクリティカルだ。きみの疑問を解いてみようか」
平井さんはわたしたちの心を読んでいる。
わたしは恥ずかしくなった。
この胸にある疑問も不安も、それ以外の感情も全部、みっともなくてみじめだから。
煥先輩が低い声で言った。
「運命を変えたり未来をねじ曲げたりすること。宝珠は、そんなデカい願いさえ叶えるものなのか?」



