PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―



煥先輩が、立ち位置を少し変えた。


わたしを海牙さんからかばう位置だ。


わたしの隣で、長江先輩が苦笑いした。



「あっきー、殺気立たないでよ。まずは話そうって場面でしょ? ねえ、平井のおっちゃん?」



平井さんは、ジャケットの胸ポケットに差したツツジのつぼみを抜き取って、手のひらに載せた。


つぼみは白くほのかに光りながら、ふわりと宙に浮き上がった。



わたしは息を呑んだ。


煥先輩が体を硬くするのがわかった。



ベンチに掛けた平井さんは悠然としている。


簡素な丸木のベンチが玉座に見えた。



「きみたちの心には多くの疑問が渦巻いている。謎に囲まれていては、不安だろう?

すべてを話してあげたいのだが、まだ時が熟していないようだ。きみたちはもう少し、互いを知る必要がある」