文徳先輩を気遣う言葉を吐きながら、わたしの胸は急激に冷たくなった。
今はわたしだけが瑪都流の特別な存在だ。
煥先輩に護衛されている。
でも、もしも小夜子がわたしと同じ立場になったら?
小夜子は正直だ。
まっすぐに煥先輩に好意を示している。
煥先輩は戸惑っているけど、もしかしたら、いずれ小夜子を受け入れるかもしれない。
そうしたら、わたしの居場所は?
わたしは誰に守ってもらえばいいの?
わたしの視線の先で、小夜子はカチカチに緊張しながら煥先輩に話しかけている。
ちょっと離れて歩く二人の後ろ姿は、ずるいくらいに絵になる。



