「おまえ、細いな。さすがにこの体勢だと、おれのほうが優勢だろ。純粋な腕力だけなら、おれのほうが強いしな」
「離せ!」
「直筆の詞を読んでもらうくらい、いいだろ? たまにはファンサービスしろよ」
「ふざけんなって!」
「おーい、牛富、雄。ちょっと手伝え」
「手伝うって……おいこら、くすぐるな!」
カッコいいロックバンドのはずが、男子四人、ぎゃーぎゃー騒いで暴れ出す。
運動神経ばつぐんの煥先輩も、ケンカ慣れした三人から寄ってたかってくすぐられると、どうしようもないらしい。
すかさず歌詞のファイルを奪い取ってきた亜美先輩が、わたしたちのそばで肩をすくめた。
「しょっちゅう、あんな調子。まるで小学生でしょ?」
「煥先輩、大丈夫なんですか? 本気で嫌がってません?」



