煥先輩は横を向いて、乱暴な仕草で長江先輩から手を離した。
長江先輩はニヤニヤ顔のまま、襟元を直しながら、煥先輩の顔をのぞき込む。
「おっや~? なんか新鮮なリアクションだね。心当たりあるわけ、あっきー?」
「どうでもいいだろ」
「よくないよくない! すっごい気になる!」
「くだらねえ。オレは誰も好きにならねぇよ。相手が迷惑するだけだろうからな」
煥先輩は吐き捨てて、北口広場の隅のベンチへ行ってしまった。
「ありゃ~。あんないじけ方するとは思わなかった」
長江先輩はポリポリと頭を掻いた。
迷惑なんてことないのに。
煥先輩は知らないだけだ。
小夜子は煥先輩のファンなんだよ。
明日、やっぱり紹介してあげなきゃ。



