PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―



深い色をした本の表紙には、『四獣聖珠秘録《しじゅうせいしゅひろく》』というタイトルが金箔で印字されている。



「おれと海ちゃんは全部読んだよ。四獣珠の由来とか伝説とか、預かり手の役割とか禁忌とか、今おれらに必要な情報が書かれてる。鈴蘭ちゃんとあっきーも読むでしょ?」



長江先輩はページをめくった。


わたしは思わず悲鳴をあげた。



「何これ、漢字だけの本!」


「うん、白文の漢文だけの本。序文によると、江戸時代に編集されたらしいね~。当時の学術書は漢文で執筆してたっぽい。木版印刷の紐綴じ製本ね」