煥先輩は威嚇《いかく》するように両目を細めた。
「オレの自己紹介は必要ねぇんだろ?」
「そうですね。失礼ながら、調べさせてもらったので」
「礼儀なんぞ何とも思ってねぇくせに」
海牙さんが肩をすくめる。
長江先輩が、手にしたトートバッグから、革の装丁の本を取り出した。
「はいはい皆さん、ちゅうも~く! これね、平井のおっちゃんから借りた本。平井のおっちゃん、昨日の夜に会ったでしょ? おれと海ちゃんと一緒にいた人。
平井鉄真ひらい・てっしん》っていって、ちょっと普通じゃなくすごい人なんだけどさ」
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