煥先輩がしびれを切らしたように言った。
「そろそろ本題に入れ。話があるから呼び出したんだろう?」
「ん~、もうちょっと待って。海ちゃんが来てから話そかなと……って、来たじゃん。ナイスタイミング」
長江先輩が指差した。屋上の出入口とは全然違う方向だ。
本館の隣に建つ学習館のほう。
長江先輩の指先に従ってそっちを見て、わたしも煥先輩も驚いて声をあげた。
学習館最上階の天文観測所のドームの上に、グレーの詰襟の海牙さんがいる。
海牙さんはちょっと声を張り上げた。
「どうも、遅くなりました! そっちに行きますから、あと十秒ほど待ってください!」



