文徳先輩が噴き出した。



「引っ掛かったな。カマ掛けただけなんだけど。おい、理仁。煥の好みのタイプ、自供が取れたぜ」



煥先輩が頭を抱えてしゃがみ込んだ。


耳が赤い。



場違いかもしれないんだけれど、わたしは胸がキュンッとした。


もふもふの子犬を見たときみたいな気分。


しゃがみ込んだ煥先輩、かわいい。



サラサラな銀髪に触れてみたいと、急に思った。


頭、撫でてみたい。


長江先輩も同じことを思ったみたいだ。



「なんてキュートなんだ、あっきー! これは反則だよ~」



長江先輩は煥先輩の頭を撫でようとして、パシッと鋭くて痛そうな音をたてて、手を振り払われた。


煥先輩はジロッと周囲をにらんで、北口広場の隅のベンチへ逃げて行った。