長江先輩は口を閉ざしたまま、頭に直接響く声で言った。 【明日の昼休み、襄陽学園の屋上においで。おれら、ちょっと情報持ってるからさ】 おれら、という複数形の理由を、長江先輩は肩越しに親指でさし示した。 二人の男の人がいる。 一人は高校生、もう一人は大人。 高校生のほうは、隣の町の男子校、大都《だいと》高校のグレーの詰襟を着ている。 スラリと細身で背が高い。 この人もカッコいい。 波打つ髪に、彫りの深い顔立ち。 微笑んだ目は緑がかっている。