亜美先輩はリュックサックを下ろした。 伸縮式の警棒を取り出す。 コンビニの狭い駐車場に、二台の真っ赤なバイクがある。 バイクに寄りかかってタバコを吸っていた二人の赤い特攻服が、ニヤッとして近寄ってくる。 亜美先輩がわたしを背中にかばった。 「あいつら、緋炎だ。隣町のクズ連中ね。あたしたちのメンバーが集まるライヴのときは、さすがに姿を見せないと思ってたんだけどね」 すかさず戦闘態勢に入った亜美先輩に、緋炎の二人が挑発してくる。 総長の嫁、という一言が再びわたしの胸に突き刺さる。