「文徳先輩、一つ訊いていいですか?」 「ん、何?」 「彼女、いますか?」 「いるよ。瑪都流《バァトル》の鹿山亜美。あいつがおれの彼女だよ」 キッパリとした返事。 わたしの心がバラバラになる。 瑪都流がわたしを守ると、総長である文徳先輩が約束してくれて、わたしはうなずいた。 後ろめたさに押し潰されそうになりながら。 この恋の成就は、願ってはいけないものだったの? 見上げる月は明るい。 四月十五日、十三夜の月。 ねえ、と胸の中で青獣珠に語りかけてみる。 ツルギの柄は何も答えてくれない。