わたしのほうへ戻ってくる亜美先輩は、ごめんね、と苦笑を浮かべていた。
わたしの頭はひたすら混乱している。
「い、今の、あの」
「あいつらの肘? 折ってないよ、外しただけ」
そうじゃなくて。
ケンカの話じゃなくて。
「総長の嫁って……」
亜美先輩が声をたてて笑った。
リュックサックを拾って、わたしの肩を抱えて、北口広場に戻る道を歩き出す。
「妙な表現だよね。嘘とは言わないけどさ。昔から両家の親の同意もあるし」
照れたような笑顔。
キレイな人。
カッコよくて強くて、楽器ができて、料理が上手で、面倒見がよくて。
わたし、一つもかなわない。



