髪に剃り込みがある人がポキポキと両手の指を鳴らした。
赤いロングヘアは、背中に隠していた手を体の前に回した。
鉄の棒が二本。
赤いロングヘアは、鉄の棒の一本を剃り込みに渡した。
二人は野球のバットを扱うような仕草で、鉄の棒で素振りをしてみせる。
「あ、亜美先輩……」
「大丈夫。あいつら、たいしたことないから」
亜美先輩の言葉に、緋炎の二人が爆笑した。
「すっげ! めっちゃ自信あるじゃん!」
「さすがっすね! 瑪都流の総長の嫁は、一味違うわ!」
恐怖が吹き飛んだ。
ガン、と頭を殴られたようなショックだった。
瑪都流の総長の嫁?
それは亜美先輩のこと?
文徳先輩の彼女ってこと?



