わたしは思わず立ち止まってしまった。
亜美先輩も足を止めて、わたしの頭を撫でた。
「ごめんごめん。そんな顔しないでよ。でもさ、こういう事情だから、あいつら危なっかしいんだよ。
煥はいつものことだけど、文徳も意外とキレやすいし。ほっとくと、ろくな食事しないし。ねえ、鈴蘭。料理は得意?」
わたしはかぶりを振った。
「料理は、ほとんどしたことなくて」
「じゃあ、教えてあげるよ。今度、一緒にあいつらの部屋に行こう。栄養のあるもの、作ってやろうよ」
胸がズキッとした。
亜美先輩は文徳先輩の幼なじみだ。
文徳先輩のことをたくさん知っている。
もしかして、と勘が働いた。イヤな予感がした。
もしかして、文徳先輩と亜美先輩って。



