PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―



このあたりに、コンビニは二ヶ所ある。


駅の南口と、嫦娥《じょうが》公園の裏側。


わたしと亜美先輩は、公園裏のコンビニへ向かった。



「鈴蘭、帰りの時間は大丈夫?」


「家に連絡したから、一応は大丈夫です。何か言われそうですけど。遅くなるなら迎えの車を出す、とか」



何気なく言ってしまってから、慌てて口を閉ざした。


迎えの車なんて言い方、いかにも御嬢さまだ。


きっと印象がよくない。



亜美先輩は気に留めなかった。



「親御さんには心配かけちゃうよね。文徳と煥の家も、昔はそんなんだったな。遅くまで遊んでると、メイドさんが迎えに来るの」


「文徳先輩たちの家も?」


「四獣珠の家系って、そうなんじゃないの? 昔からの名家というか。あたしは伊呂波《いろは》家しか知らないけど」


「わたしも自分の家しか知りません」