――ここに、いる――
呼ばれた気がした。
わたしは振り返った。
青いものが目に入る。
クローゼットの前のハンガーラックに掛かった真新しい制服の足下に、青い何かがある。
わたしは慌てて駆け寄った。
ひとまずホッとした。
青獣珠があった。
青獣珠は、わたしの親指の爪より少し大きいくらいの直径の、青い宝珠だ。
深い湖みたいに、澄んでいると同時に光を吸い込むようで、奥を見通すことができない。
でも、今ここにある青獣珠は、わたしが知っている姿ではない。
「ツルギの柄?」
刃のない剣の、持ち手の部分だけ。
柄頭の部分に、青獣珠が嵌《は》め込まれている。
ツルギの柄は青っぽい金属でできている。
グリップの形は、すんなりとわたしの手のひらに馴染んだ。
鍔《つば》には植物の模様が彫刻されてる。
「どうしてこんな形に? 寝る前まではペンダントだったのに」



