鏡に映る自分を見ながら髪を梳《と》かし始めて。
次の瞬間、ブラシを取り落とした。
「嘘っ? ないっ?」
首筋に触れる。
鎖がない。
ペールブルーのネグリジェの胸に手のひらを当てる。
ぱたぱたと、あちこちさわる。
やっぱり、ない。
肌身離さず首に提げているはずなのに、青獣珠《せいじゅうしゅ》がない。
あれは単なるネックレスじゃない。
普通の宝石飾りなんかじゃない。
青獣珠にはチカラが秘められていて、わたしはそれを預からなくてはならなくて。
なくした? そんなわけない。
昨日の晩は確かにあった。
「何で? どうして?」
ベッドに飛び込む。
布団をめくって、枕を剥《は》がして、手あたり次第にさわって回る。
やっぱり、どこにもない。
パニックに陥る寸前だった。