わたしは煥先輩に訊き返した。 「今日の放課後はライヴなんですか? 軽音部室での練習じゃなくて?」 「ああ、ストリートライヴだ。最終下校時刻より早く学校を出る。あんたに伝え忘れたと、兄貴が言ってた。 聴きに来るのが無理なら、適当なメンバーに家まで送らせるから……」 「行きます!」 文徳先輩がギターを弾くのを見たい。 ロックバンドの演奏を聴くのは初めてで、ワクワクする。 クラシック音楽やミュージカルの鑑賞は好きだ。 ロックも、きっと好きになれる。 文徳先輩が好きな音楽なんだもの。