わたしの視界の隅で、三日月がはねた。
カバンにくっつけたアミュレット。
恋の願いを掛けたお守り。
そうだ、忘れていた。
「先輩、ちょっと待ってください。カバンから取り出したいものがあります」
煥先輩は立ち止まった。
わたしはカバンの口を開けて、青獣珠のポーチを出した。
三日月のアミュレットも外して、ポーチに付ける。
「この中に青獣珠を入れてるんです。これだけはやっぱり自分で持っていたくて」
煥先輩は視線をそらしたまま、うなずいた。
わたしは水色に小花柄のポーチを持って、煥先輩は自分のカバンとわたしのを持って、再び歩き出す。
会話はなかった。



