PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―



「あのチカラのこと、障壁《ガード》って呼んでる。光の壁で身を守る」


「防御用なんですか? でも、バイクのタイヤに穴を開けてましたよね?」


「ああいう使い方は嫌いだ。威力が高すぎる。あんたは?」



預かり手としてのわたしがどんなチカラを使えるのか、という問いだろう。


煥先輩のしゃべり方は言葉足らずで、だからひどく無愛想に感じられる。



「わたしのチカラは、癒傷《ナース》と呼んでいます。傷の痛みを引き受けることで、その傷を治せます。引き受けられないほど痛む傷は無理ですけど」


「痛みを引き受ける?」


「吸い出すようなイメージです。息を吸いながら、患部の痛みをわたしに移します」



煥先輩が横顔をしかめた。



「昨日の兄貴の傷、痛かっただろ?」


「えっ。まあ、それなりに」


「次にケガ人が出ても、気にするな」


「はい?」


「痛い思いしてまで治さなくていい」