煥先輩の銀色の髪、脱色して染めたんだと思っていた。
でも、銀髪が生まれつきなら。
わたしと同じ誤解を、みんながしてしまうなら。
「ご、ごめんなさい」
わたしは立ち止まって頭を下げた。
制服のスカートと革靴が見える。地面が見える。
煥先輩の顔を見ることができない。
ため息が聞こえた。
「いちいち気にしてねえ。白い目で見られんのは慣れてる」
白い目で見る。
わたしが煥先輩に向ける視線、そんなふうだったんだ。
視界がじわりとにじんだ。
申し訳なくて情けなくて、涙があふれそうになる。
少しの間、無言だった。
また、ため息が聞こえた。
煥先輩は話題を変えた。
「オレのチカラは、昨日のとおりだ。話しづらい。顔、上げろ」
「……はい」



