煥先輩は不良だ。
昨日、他人に暴力を振るうところを見た。
よその暴走族と敵対していることを知った。
でも、その事実を見て知るより前に、わたしは煥先輩を不良だと思った。
着崩した制服のせいでもある。
だけど、これくらいの崩し方は珍しくない。
両耳のピアスのせいでもある。
だけど、ピアスは校則違反じゃない。
髪の色のせいだ。
目立ちすぎる銀色を見て、わたしは条件反射のように、煥先輩を不良だと判断した。
「生まれつきなんですか、その髪の色?」
煥先輩がうなずいた。
「うちの家系、色素が薄いから。兄貴の髪と目を見りゃわかるだろうが。親父もじいさんもあの色だった。そして、オレだけ極端に薄い」



