「煥先輩、どうして来たんですか?」
「兄貴に『行け』と言われた」
「文徳先輩ご本人は?」
「三年の進学科は朝補習」
「さっき、どうして白虎って名乗ったんですか?」
「オレの見た目は、人に信用されないだろ。あんただってオレを信用してない」
決め付けられた。
でも、間違ってはいない。
「信用されたいなら、きちんと制服を着てください。髪もピアスも校則ではOKですけど、一般的にはいい印象を持たれませんよ」
煥先輩が鼻を鳴らした。
「髪は生まれつきだ。黒染めでもしろってのか」
透き通った声に感情がにじんだ。
苛立ち?
違う。もっとねじれて、壊れやすそうな何かだ。