ピピピピッ ピピピピッ

「ん...」

杏は目覚ましの音で目を覚まし、
辺りを見回した。

「起きたか。」

「わっ!」

急に聞こえてきた匠の声に驚き、
思わず声を出してしまった。

「そんなにビビるか?笑」

匠は笑いながら話しかけてきた。

「この人も笑うんだ....。」

杏は心の中で言っているつもりだったが
声に出ていたみたいで、

笑っていたのが嘘のように
眉間にしわを寄せムッとしていた。

「俺も人間だ、笑いもするし泣きもする。」

「あ、そんなこと思っては...
私、声に出してましたか?」

「あぁ思いっきしな。」

「ごめんなさい....。
私、無意識でそんなことを...」

「もういい。飯にするぞ。顔洗ってこい。
話はそれからだ。」

そう言って匠はキッチンに向かい、
杏は返事をして洗面所に行った。