キミが幸せに。


「あっ……」


その時、遠くの方で湊太を呼ぶ声がした。


「ごめんな、そろそろ戻らないと……――」


「湊太、これ」


あたしは握りしめていたミサンガを湊太に差し出した。


「ミサンガ……?」


「うん。あんまりうまくないかもしれないんだけど作ってみたの。あたしが湊太にしてあげられることは何かなって考えたらこれぐらいしか思いつかなくて……」


「うわっ、マジかよ……。すげぇ嬉しい!!梨子、つけてくんない?」


手首につけると、湊太はミサンガをジッと見つめた。


「ありがとう、梨子。ミサンガ作ってるなんて全然知らなかったし」


「うん。驚かせようと思ってコッソリ作ってたの」


具合が悪いと湊太に嘘を吐いて本屋へ行ったこと、それから湊太があたしが落とした白い袋を拾い上げようとした時「やめて」と叫んだ理由を話すと湊太は納得したように頷いた。


「俺達、お互いのことを気遣い過ぎてたんだな」


「そうだね……。でも、きっともう大丈夫だよ」


「何で?」


「今回のことで、ちゃんと気持ちが通じ合った気がするから。好きって気持ちは口に出さないと分からないと思ってたけど、空気とか表情とか態度とか、そういうもので伝わるって知ったの」


――だから、もう大丈夫。


そう言おうとした時、湊太の唇で言葉を塞がれた。