キミが幸せに。


あと一歩で家に着くというところで、


「梨子、考え直してくれよ!!」


シュウにふいに後ろから抱きつかれた。


「やめて……――!!離してってば!!」


いくら抵抗しても、シュウはその手を離そうとしない。


もう、嫌だ。胸に抱えていたミサンガの本を落としそうになり、慌てて抱え直した時、ふと前から歩いてくる人影に気が付いた。


ドクンッと心臓が不快な音を立てる。


一歩一歩と近付く距離。


あたしに気付くと、湊太は一瞬驚いたように目を見開いた。


けれど、すぐに元の表情に戻った。


湊太とあたし達の距離が近づく。


シュウに後ろから抱きしめられているあたし。


シュウが耳元で何かを言っているけど、それすら耳に入ってこない。


シュウの腕を振り払うこともできない。


視線が湊太に釘付けになる。


怒っているような、悲しそうな、辛そうな……。


そんな湊太の表情を見るのは初めてだった。