『よっ!』


朝、玄関前には彼がいる。


これで3日目。


昨日の出来事が脳裏をよぎるからまともに顔が上げられない・・・


『・・鍵、貸して』


私に右の手のひらを差し出して催促する彼も私を見てない・・・


『・・・もう、足大丈夫だから』


『・・・え?もう大丈夫なのか?』


一瞬私の方をみたような気配がしたけど、また視線が宙を泳ぐ


『・・・うん、ありがとう。だから・・・明日からは本当にもう来てくれなくて、いい、から・・・』


『・・・ちぇっ!治んの早すぎじゃね?(笑)』


『・・・・』


『じゃ、今日で最後な。鍵、貸して?』


『・・・・・』


鍵を受け取るといつものようにガレージから自転車を出して、



『はい、乗って!』


荷台をポンポンと優しく叩く


『・・・・ありがとう』