アイツが部室から出て行ってから俺はジャージに着替えて急かす北野の元に向かおうと小走りに走る。
《ガシッ》っと腕を掴まれて、振り返ってみると同じ生徒会の山本。
『入江、ちょっと来て』
ガンつけられて、人気のない部室裏に連れて行かれる。
『何』
『彩を傷つけたら許さない』
『彩って・・・島田?えっ、お前、アイツのツレなの?』
山本は生徒会の書記。
月に一度生徒会役員会で顔を合わせる仲。
人と交わる事を好まず、仕事だけはきっちりこなす結構なキレ者。
そんな山本がアイツのツレ?
そういや、もう1人のアイツと一緒にいるツレが「同中の山本」って言ってたな・・・ってことはヤッパリコイツ、アイツのツレ?
『何むずかしい顔してんのよ。私が言った事聞こえたの?』
『え、何だった?』
『彩を傷つけたら許さない』
『傷つける?』
『そう』
『ははっ、そんなつもり全くねーよ。むしろ俺がアイツに傷つけられてる(笑)』
『どういう事?』
『アイツ、俺と話してくんねーから(笑)だから俺案外必死』
『じゃあ・・・彩をからかってる訳じゃないんだよね?』
『からかう?んな訳ねーじゃん。めんどくせー』
『・・・だよね・・・入江に限って、ないよね。ごめん。でも、確認しときたかったんだ。もう辛そうな彩を見たくないから』
『ふーん・・・』
『じゃ、私行くわ』
『・・・ちょい待て。アイツ・・・やっぱ、いいや。直接本人に聞く』
『・・・・頑張って』
去り際に親指を立てて見せる山本。
コイツ、男前・・(笑)