『・・・ゴメンっ!こんなとこまで連れてきて』
『・・・・・・』
『あそこじゃギャラリー多すぎて。お前の声も聞こえないから』
『手、離して』
未だに掴まれたままの腕を離すようにお願いする。
『・・・ゴメンっ!』
慌てて私の手を離して後ろにのけぞる《入江クン》
体制を整えて、もう一度私をまっすぐ見据える。
少し茶色がかった髪、高い角度からまっすぐ私を見つめる黒い瞳、整った唇・・・
《入江クン》はボール籠に腰掛けて、私を「ちょっと汚ねーけど」と、室内のベンチに座らせた。
大きく深呼吸する《入江クン》
その視線は変わらず私を捉えて、整った唇から言葉を紡ぐ。
『・・・さっき・・・どうして?って聞いたんだよな?』
私は小さく頷く。
『・・・俺、お前に俺の事知って欲しい。・・・フられるならそれから・・・』
意味のわからない言葉が飛び出してきた。
『・・・フラ・・・・れる?』
『あ・・・ヤベっ・・・』
俯いて私から視線を外して、顔を赤くして・・・こんな表情今まで見たことない。
『・・・・・・』
私は《入江クン》に告白なんてされてない。
《入江クン》はバツが悪そうに上を向き、髪の毛をクシャっとして。
もう一度私に視線を落とす。
『・・・俺お前が男に告白されてるとこ見たんだ・・』
『・・・え・・』
『・・・お前さ、「私と話したことないよね?」ってそいつを一蹴したんだ』
見られてた?
『・・・・・』
『だから、俺、俺を知ってもらって、それから・・・・・・って・・・ってめ、北野~っ!』
私に突進!
かと思ったら私の横を素通りして後ろに向かって怒鳴っている。
私はゆっくり振り返って・・・
小窓にはニヤニヤした北野君の顔があった。

