「きゃあーっ!入江先輩と彩先輩が!」

「すごい!」

「やっぱり噂って本当だったんだ」



あちこちで女子の悲鳴と、ざわめきが聞こえる。




結構・・・・すごい。


あらためて《入江クン》の人気の高さを知る。


登校中の生徒の波をうまくかわして、《入江クン》は校内に入っていく。


校門前の先生が



『こらっ、お前たち、二人乗りはダメだ!』



っと叫んでいたけど。

《入江クン》は爽やかに



『島田さん足捻挫してるんで』


 
『そ、そうか。ま、入江と、島田だしな・・』



《いやいや、先生そこはダメって叱らないと》


心の中で突っ込む(笑)


自転車は駐輪場へ入っていき、私の駐車場所の前で静かに止まる。



『ほら、着いた。大丈夫か?』



『・・・・うん、ありがと。・・・でも明日からはいいから』



《入江クン》の後ろに乗って学校に着くまでの間、ずっと考えていた。


これ以上深入りしちゃいけない。


きっと今は面白半分で私に接してるだけ。


きっと、そう。



《入江クン》を残して先に教室に向かう・・・



『ちょ、待てよ』 



後ろから腕を掴まれて。



『なに』



静かに振り返る。



『ごめん、俺、強引で。でも、お前こうでもしないと俺と話さないし』



『私は話すことない。じゃ』



踵を返してまた先に教室に向かう。



呆然と立ち尽くす《入江クン》を残して。



後ろに乗りながら考えていた。


もうこれ以上《入江クン》と関わらないと。


関わらなければ傷つく事もない。


私は先手を打つ・・・・


自分が傷つかない為に・・・